あるクライアントのセッションでのこと。
その方は、大腰筋がほとんど使われておらず、
いつも太ももなどの大きな筋肉で体を支えている状態でした。
いわゆる「頑張ることで体を保ってきた人」です。
このような場合、
強く働きかけたり、深く操作しようとすると
筋肉同士が“闘う”ような反応が起き、
結果的にすぐ元に戻ってしまうことがあります。
だから今回は、無理に変えようとせず、
「神経回路にノックする」程度の関わりにとどめました。
体は「できない」のではなく、
まだ「つながっていないだけ」。
そのようにお伝えしました。
また、チューニングボードを使い、
前庭器官(バランスや重力を感じる感覚)に働きかけることで、
筋肉ではなく「感覚の土台」を整えるアプローチも行いました。
セッションの最後には、
太ももの筋肉がすぐ発動してしまうパターンに気づき、
そこに頼らない歩き方の練習を少しだけ。
大きく変えることはしていません。
ただ、体にとっては
初めて「頑張らなくてもいいかもしれない」と
感じられた時間だったと思います。
こうした体験は、
すぐに変化として現れるものではありません。
けれど一度触れた感覚は、
神経系の中で時間をかけて育っていきます。
頑張らないことを学ぶのは、
最初はとても難しいことです。
それでも、体はちゃんと覚えています。
今日は、ほんの小さなノック。
ここからゆっくり、変化が育っていくと思います。


