先日の学会で、
ポスターの前に立ち止まってくださった院長先生たちと、
いくつか印象的なやりとりがありました。

その中で、私はこう問いかけました。
「歯科医院の現場で、
スタッフが子どもの姿勢を直接“治す”ことって、
現実的でしょうか?」
その瞬間、
何人もの先生が、言葉を発する前にうなづいていました。
それは賛成というより、
“わかっている”という反応だったように思います。
今回の学会では、
整体師や理学療法士など、
他業種の専門家が歯科と連携し、
直接身体にアプローチする事例も多く見られました。
それらはとても意義のある取り組みですし、
一定の条件が整えば、効果も出ると思います。
ただ同時に、
「それを日常の歯科診療の中で、
どれくらい再現できるのか」という問いも残ります。
そんな中で、
私のポスターをじっと見ていた院長のひとりが、
こんな話をしてくれました。
「これまで何人ものボディワーカーに、
自律神経と体の使い方は関係ないのか?
と聞いてきたけれど、
ほとんどが“関係ない”という答えだったんです」
だからこそ、
ポスターに書かれていた視点を見て、
「これは画期的だ」と感じた、と。
私はその言葉を聞いて、
とても静かに、でも深く納得しました。
私が扱っているのは、
「誰が、どんな技術で、どう介入するか」
という話ではありません。
歯科医院という場に流れている
空気の初期設定を、どう整えるか。
子どもに声をかける前、
評価する前、
何かを教える前に、
その場にどんな前提が置かれているか。
そこが変わると、
子どもの体の反応も、
大人の関わり方も、
自然と変わっていきます。
学会でのあのうなづきは、
新しい理論に対する驚きではなく、
「それでいいんだ」という
現場の安堵だったのだと思います。
私はこれからも、
具体的な方法を前に出すのではなく、
その場の空気が、
子どもにとってどう作用しているのか。
その問いを、
歯科という現場と一緒に考えていきたいと思っています。

