小児の口腔育成というと、
舌のトレーニングや呼吸のトレーニングなど、
「子どもに何をさせるか」に目が向きやすいものです。
しかし、3〜6歳くらいの子どもたちを見ていると、
実際には子ども自身にできることはまだ限られています。
姿勢を意識して整えることも、
機能トレーニングを理解して行うことも、
この年齢ではまだ難しいことが多いからです。
そのため歯科の現場では、
「できないこと」
「まだ難しいこと」
を説明する場面が多くなりがちです。
けれど、その説明が増えるほど
保護者の方は
「私の関わり方が悪いのかもしれない」
「この子はできていない」
と感じてしまうことがあります。
私は、3〜6歳の口腔育成で本当に大切なのは
子どもに何をさせるかよりも、
お母さんが安心できる状態をつくることだと感じています。
子どもの発達は、お母さんの状態とつながっている
小さな子どもは、
自分の身体の状態を大人のように調整することがまだできません。
そのため、
一番近くにいる大人の状態の影響を強く受けます。
お母さんが緊張していると
子どもも落ち着かなくなり、
お母さんが安心していると
子どもも自然と落ち着いていきます。
このような関係性の中で、
安心
↓
呼吸
↓
発達
という流れが生まれていきます。
3〜6歳では「遊びの中の呼吸体験」で十分
この年齢の子どもに対しては、
姿勢やトレーニングを指導するよりも、
・息を吐く遊び
・呼吸を感じる遊び
・息を吐く遊び
・呼吸を感じる遊び
といった体験で十分です。
例えば、
- 笛や音の出るおもちゃを吹く
- 風車を回す
- シャボン玉をふく
こうした遊びはすべて、
自然に呼吸を使う体験になります。
そしてその体験を支えるのは、
「できている・できていない」を評価しない
大人の関わり方です。
子どもの感覚は、子どものもの。
ジャッジせずに見守ることが、
呼吸と発達を支えていきます。
小児口腔育成は、実はもっと長い流れの中にある
歯科医院によっては、
マタニティ期から18歳頃まで
長い期間で子どもの成長をサポートするプログラムがあります。
この流れを整理すると、
とても自然な発達のストーリーが見えてきます。
マタニティ期
お母さんの身体・呼吸・安心
↓
離乳食期
お母さんの関わり方
↓
3〜6歳
遊びと呼吸の体験
↓
小学生以降
マイオブレースなどの機能トレーニング
この流れを一言で表すと、
親の状態
↓
子どもの呼吸
↓
口腔発達
です。
最終的に目指しているのは「自己調整できる大人」
小学生以降になると、
口腔機能のトレーニングが少しずつ理解できるようになります。
そのとき大切なのは、
単にトレーニングを行うことではなく、
・呼吸を感じる
・身体の状態に気づく
・自分で整える
といった
自己調整の感覚を身につけていくことです。
そして18歳頃、
プログラムを卒業する頃には、
自分の身体を自分で整えながら生活できる
自立した大人になっていく。
私は、小児口腔育成は
そんな未来につながる取り組みだと感じています。
だからこそ大切なのは「大人の自己調整」
子どもを育てる環境の土台は、
子どもに関わる大人の状態です。
歯科医院のスタッフも、
保護者の方も、
まずは自分の身体の状態を感じ、
呼吸を整えること。
その小さな自己調整が、
子どもたちの安心につながり、
発達を支えていくのだと思います。

