ピアノを習う子どもの姿勢と肩こり。座り方を変えたら音まで変わった話

「娘の首や肩のこりがひどいんです」

以前、そんな相談をお母さんから受けたことがあります。

小学6年生の女の子。

ピアノのコンクールに向けて、毎日何時間も練習しているお子さんでした。

ピアノが大好きで、一生懸命練習している。

でも、首や肩がつらい。

そこで私は、その子の自宅へ伺い、実際にピアノを弾いている姿を見せてもらうことにしました。

ピアノを弾くのは、指や腕だけじゃない

ピアノを弾く姿勢というと、何を思い浮かべますか?

背筋を伸ばす。
肩の力を抜く。
手首の位置に気をつける。

もちろん、どれも大切なことです。

でも私は、まず別のところが気になります。

その子の身体は、どこで支えられているんだろう?

ピアノは、基本的に大人も子どもも同じ大きさの楽器を使います。

でも、子どもの身体は大人より小さい。

椅子の高さが合っていなかったり、足が床に届かなかったりすると、身体を安定させることが難しくなる場合があります。

その状態で、

「肩の力を抜いて」

と言われても、どうすればそうなるのかがわからない。

そもそも、身体の支えが不安定な状態では、力を抜くこと自体が難しい場合もあります。

だから私は、姿勢の形を教えるより先に、身体で感じてもらうことを大切にしています。

子どもが、自分の身体で気づけるように伝える。

そこが、私の仕事なんだと思っています。

子どもの姿勢を、形だけで見ていませんか?

ピアノに限ったことではありません。

勉強するときも、食事をするときも、楽器を演奏するときも。

大人はつい、子どもの姿勢の形が気になります。

背中が丸い。
首が前に出ている。
肩が上がっている。

だから、そこを直そうとします。

でも私は、その前に考えたいんです。

その子は、楽に身体を支えられているのかな?

足が床についているか。

椅子の高さは合っているか。

座面で自分の重さを感じられているか。

そんな基本的なことが、実はとても大切です。

姿勢をよくしようとして、さらに身体を固めてしまったら、ちょっと困りますよね。

音が変わった理由を考えてみる

今回、お母さんは「音が変わった」と感じました。

もちろん、座り方を変えたら必ずピアノの音がよくなる、という話ではありません。

でも、身体の支え方が変われば、腕の動かしやすさや力の伝わり方が変化することは考えられます。

ピアノは指先だけで弾いているわけではありません。

身体全体が関わっています。

だからこそ、首や肩の力を抜こうとする前に、身体の土台を見直してみる。

そんな視点もあっていいと思うんです。

子ども自身が気づけることが、いちばん大切

私は、子どもの姿勢教育で、正しい形を覚えさせることを一番の目的にはしていません。

大切なのは、

自分が今、どう座っているのか。
どこで身体を支えているのか。
どうすると楽に動けるのか。

子ども自身が、自分の身体に気づけるようになること。

誰かに注意されて姿勢を直すのではなく、自分で気づいて、自分で戻れるようになる。

私は、そんな力を育てたいと思っています。

今回の女の子の姿勢を見たときも、特別な運動を教えたわけではありません。

椅子と足台を調整して、身体の支えを感じてもらった。

ただ、それだけです。笑

でも、その「それだけ」が、案外大切なんですよね。


身体の支えと音の関係について

ロルフィングでは、身体の一部分だけではなく、全身のつながりや重力との関係を大切にしています。

今回のピアノの話ともつながる、身体の支えと音の関係について、別の記事でも書いています。

→ ロルフィング哲学⑮「身体の支えが変わると、なぜ音が変わるのか」

※子どもの首や肩の痛みには、姿勢以外の原因もあります。痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関での確認も大切です。