はじめに
ロルファーには、それぞれ異なるバックグラウンドがあります。
トレーニングを積極的に取り入れている人もいれば、日常の体の使い方を大切にしている人もいます。
私は、特別なトレーニングよりも、毎日の暮らしの中で体と付き合うことを大切にしています。
歯を磨く時間。
椅子に座る瞬間。
犬との散歩。
振り向く動作。
そんな何気ない日常の中にも、体を育てる時間はたくさんあります。
このシリーズでは、私が普段どんなことを意識し、どんなふうに体と付き合っているのかを綴っていきます。
特別な運動ではなく、暮らしの中でできること。
ロルファー茂利尚子の日常を通して、「体との関係づくり」のヒントをお届けできたら嬉しいです。
「早く元に戻りたい。」
怪我をしたとき、多くの人がそう思うのではないでしょうか。
私もそうでした。
圧迫骨折をしてから、お腹に力を入れることが怖くなりました。
正確には、「入れられなかった」のか、「無意識に入れないようにしていた」のか、その両方だったのかもしれません。
ロルファーという仕事をしている私は、体の変化には敏感です。
だからこそ、自分の体が以前とは違うことも、よくわかりました。
お腹周りも変わりました。
「もう少し何とかならないかな。」
そんなことも思います。
でも最近、少し変化を感じています。
「あ、お腹がまた使えるようになってきた。」
そんな小さな感覚です。
よく言われる「体幹が使えるようになってきた」という状態なのだと思います。
誰かが見てわかるような変化ではありません。
体重が急に減ったわけでもありません。
でも、自分の体はちゃんと知っています。
「ああ、戻ってきている。」
その感覚があります。
以前の私は、もっと急いでいました。
早く元に戻したい。
早く以前のように動きたい。
でも今は違います。
体には、体の時間があります。
焦っても、その時間を短くすることはできません。
だから私は今、自分の回復を待っています。
もちろん、何もしないわけではありません。
いつもより犬の散歩を少し長くしたり、加圧トレーニングを再開したり、日々の食事を整えたり、体を観察したり。
今の体にできることを、一つずつ積み重ねています。
それから、もう一つ意識していることがあります。
私はもともとせっかちな性格です。
何をするにも、ついパッパッと動いてしまいます。
でも今は、あえてゆっくり動くことを意識しています。
特に、椅子に座るとき。
私はドスンと座りません。
スクワットをするように、最後まで自分の体を支えながらゆっくり座ります。
そのほうが体幹を使うからです。
特別なトレーニングではありません。
私にとっては、日常生活そのものがリハビリであり、筋力トレーニングでもあります。
だから今日も、
「今、どこの筋肉を使っているかな。」
そんなことを感じながら暮らしています。
ちょっと変わっているかもしれませんね(笑)。
でも、その積み重ねが、少しずつ「お腹が使えるようになってきた」という実感につながっています。
タイパやコスパが求められる時代です。
でも、体だけは違います。
体には、急がせても縮めることのできない時間があります。
だからこそ、その時間を信じることも、回復の一部なのだと思います。
実は今日、一つ気づいたことがあります。
私はずっと、
「今日も運動していないな。」
と思っていました。
でも書き出してみると、犬の散歩も、ゆっくり座ることも、体を感じながら暮らすことも、全部、私にとっては体を育てる時間でした。
以前は走っていました。
でも、滑り症になり、骨粗しょう症になり、圧迫骨折も経験しました。
もう以前と同じように走ることはできません。
だから心のどこかで、
「私は運動ができていない。」
そんなふうに思い込んでいたのです。
でも違いました。
私は毎日の暮らしの中で、ちゃんと体を育てていました。
運動とは、ジムへ行くことだけではない。
暮らしの中にも、体を育てる時間はある。
そう考えたら、少し肩の力が抜けました。
だから私は今日も、自分の体に問いかけます。
「今日はどう?」
そうやって体の返事を聞きながら、一日を過ごしています。
回復を急がない。
体の時間を信じる。
そして、その小さな変化を一緒に喜ぶ。
それが今の私にとって、一番の近道なのかもしれません。
体との関係づくりを、日常から。
ロルフィングは、セッションの時間だけで体が変わるものではありません。
毎日の暮らしの中で体との関係を少しずつ育てていくことで、セッションで感じた変化も、より自然に自分のものになっていきます。
この「ロルファーの日常」シリーズが、皆さんにとっても、ご自身の体との関係を見つめ直す小さなきっかけになれば嬉しいです。
体との関係づくりを体験してみたいと思われた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


