姿勢を正して。

口を閉じて。

舌を上げて。

ちゃんと呼吸して。

子どもの身体をよくしようと思うほど、私たち大人は、こうした言葉をかけたくなります。

それは、少しでもよい状態へ導いてあげたいと思うからです。

健やかに育ってほしい。
口腔機能が正しく発達してほしい。

そう願っているからこそ、私たちは、子どもの身体を外から動かし、正しい形へ導こうとします。

でも、ここで一度考えてみたいのです。

私たちは、子どもの体を、外からコントロールしようとしていないでしょうか。

私たち大人も、そう教えられてきた

私たちはこれまで、

身体をどう動かすか。
どう正すか。
どう治すか。

外から身体をコントロールする方法を、たくさん教えられてきました。

正しい姿勢をつくる。
正しい位置へ戻す。
正しい動きを覚える。

だから、子どもにも同じように伝えようとするのは、ある意味では自然なことです。

私たち大人自身が、

自分の身体の内側で何が起きているのかを感じることよりも、
外から見た正解に合わせることを先に教えられてきたからです。

身体は、外から動かされるだけのものではない

けれども身体は、外から正しい形へ動かされるだけのものではありません。

自分の内側で起きていることを感じながら、

どちらのほうが楽なのか。
何をすると呼吸が変わるのか。
どこに余計な力が入っているのか。

自分の身体に問いかけ、自分で探すことができます。

誰かに正しい形を教えてもらうことと、
自分の身体の変化に自分で気づくこと。

この二つは、似ているようで違います。

自分で見つけた変化は、誰かに言われてつくった形ではありません。

その人自身の身体の中から生まれたものです。

まず、大人自身が体験する

私が歯科医院で行っているスタッフ教育では、まず大人自身が自分の身体を体験します。

正しい姿勢を覚えるためではありません。

自分の内側で起きる変化を感じ、その変化を自分で見つけるためです。

同じ体験をしても、感じ方は一人ひとり違います。

だから、全員が同じ感覚になる必要はありません。

大切なのは、

自分の身体を感じてみること。
何が変わったのかを、自分の言葉で表してみること。

その体験を、院長もスタッフも一緒に持つことです。

大人が、自分の身体は外から動かされるだけのものではないと体験すると、子どもへの関わり方も少しずつ変わっていきます。

子ども自身が、必要な身体のポジションを見つけられるように

子どもの身体を、大人が考える正解へ動かそうとするのではなく、

この子は今、自分の身体の中で何を感じているのだろう。

どうすれば、この子自身が変化に気づけるだろう。

そんな視点が生まれます。

けれど、ただ子どもが自分の身体を感じられればよい、ということではありません。

歯科で目指しているのは、口腔発育に必要な身体のポジションを、子ども自身が身体で見つけられるようになることです。

呼吸や舌、顎の働きは、身体全体の状態と切り離すことができません。

大人に姿勢をつくられて、その形を保つのではなく、

子ども自身が、

「このほうが呼吸しやすい」
「この位置なら無理がない」
「ここにいると身体がつながる」

と感じながら、必要な身体のポジションへ戻れるようになる。

そして、その状態に繰り返し戻る中で、口腔発育を支える姿勢を、自分のものとして獲得していく。

それがゴールです。

子どもの姿勢を、外から正しく見える形へ直すことが目的ではありません。

子ども自身が、自分の身体の感覚を頼りに、口腔発育に必要な姿勢を見つけ、そこにいられるようになること。

そして、その体験を支えられる大人を育てること。

私は姿勢を入り口に、そのための場をつくっています。

楽な道のりではないからこそ

子ども自身が身体の感覚を頼りに、口腔発育に必要な姿勢を獲得していくこと。

そして、その変化をスタッフ全員が共通の視点で見られるようになること。

これは、すぐに答えが出る方法ではありません。

子どもの身体をその場で直したり、決まった声かけを覚えたりするより、時間がかかります。

けれど、そこを飛ばしてしまうと、

目の前の状態をその都度整えるだけになり、
一部のスタッフの経験や熱意に頼ることになります。

担当者が変われば、取り組みも止まりやすくなります。

だから私は、姿勢の正解を教えることよりも、

スタッフ自身が身体で体験し、
子どもの変化を見る視点を育て、
院内でその視点を共有できることを大切にしています。

決して楽な道のりではありません。

でもそれが、子どもの身体の育ちを支えながら、誰か一人の頑張りに頼らず、医院全体で見守っていける土台になると考えています。

長く家族で通う歯科医院だからこそ

子ども自身が身体の感覚を頼りに、口腔発育に必要な姿勢を獲得していくこと。

そして、その変化をスタッフ全員が共通の視点で見守っていくこと。

これは、一度の指導で完結するものではありません。

成長の中で何度も身体は変わり、そのたびに子ども自身が気づき、また自分に必要なポジションを見つけていく。

その過程を、長く見守ることが必要です。

だからこそ、これは、家族で長く通う歯科医院だからできる取り組みだと思っています。

子どもの口腔だけを見るのではなく、身体の育ちを見守る。

その場で整えて終わるのではなく、子ども自身が姿勢を獲得していく過程に伴走する。

それは、地域の中で長く家族と関わる歯科医院だからこそ担える役割です。

外から正しい姿勢を与えるのではなく、
自分の内側から見つけられる余地をつくる。

それが、私が歯科医院で行っているスタッフ教育です。


歯科医院の院長先生へ

姿勢を入り口にしたスタッフ教育について、少し話を聞いてみたいと思われた院長先生へ。

現在の院内での取り組みや、スタッフ教育について感じていることを伺う、無料Zoom個別相談を行っています。

どうぞ、まだ考えがまとまっていない段階でもお話しください。

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