講座を受講中の院長先生から、こんなご相談をいただきました。
「教えていただいた呼吸法を子どもにやってみたのですが、本人にはなかなか変化が伝わらないようです。どのように指導したらよいでしょうか。
また、保護者の方へ説明できるように、解剖学的な背景も教えていただけますか。」
子どもたちのために、早く役立てたい。
そのお気持ちがあるからこそのご質問だと思います。
けれども、私がお返事したのは、
「今は、まだ子どもへ教える段階ではありません」
ということでした。
この時期にお願いしていること
初回Zoom講座のあと、院内研修までにお願いしている課題は、とてもシンプルです。
・先生やスタッフの皆さん自身が、呼吸法を継続して体験すること
・子どもたちには特別な声掛けや姿勢への働きかけをせず、現在の状態を記録するためのビフォー写真を撮ること
この二つです。
この時期は、
子どもへ教える期間ではありません。
まずは、
先生やスタッフ自身が、自分の身体を体験する期間。
そして、
今の子どもの状態を、変えようとせずに観察する期間。
なのです。
人は、すぐに「どう教えるか」を知りたくなる
新しい方法を学ぶと、
「子どもには、どう説明したらよいですか」
「どのようにやらせたら、変化が出ますか」
と考えたくなります。
医療の現場では、とても自然なことだと思います。
けれども、この講座では、方法を先に子どもへ渡すことはしません。
まず先生やスタッフ自身が、
「呼吸がしやすくなった」
「足裏の当たり方が変わった」
「立っているのが少し楽になった」
そんな小さな身体の変化を、自分自身で何度も体験します。
自分の身体で体験していないことを、子どもに身体感覚として伝えることは難しいからです。
言葉で方法を説明することはできても、
その子が何を感じているのか、
どこで力んでいるのか、
どのような問い掛けなら自分の身体へ意識を向けられるのか、
そこまでは、体験なしには見えてきません。
歯科医院が、子どもの姿勢を改善するのではありません
この講座は、
子どもの姿勢を、外側から良い形へ直す方法を学ぶ講座ではありません。
子ども自身が、
「この方が楽」
「こちらの方が呼吸しやすい」
「足が床についている」
と、自分の身体で気づけるような関わり方を学ぶ講座です。
歯科医院が子どもの身体を変えるのではなく、
子どもが、自分の身体に気づき、自分で変わっていけるための条件をつくる。
その視点を、院長やスタッフの皆さんと共有していきます。
子どもの身体だからこそ、生きる体験があります
長年繰り返してきた身体の使い方は、大人になるほど無意識の習慣になります。
もちろん、大人も身体の使い方を変えることはできます。
ただ、まだ身体が柔軟で、新しい感覚を受け取りやすい子どもたちは、
「この方が楽だった」
という体験が、日常の姿勢や動きへ自然につながっていく可能性があります。
だからこそ、子どもに必要なのは、
正しい形を覚えさせることだけではなく、
自分の身体の中で、楽さや呼吸のしやすさを見つけられる体験
だと考えています。
MFTも、日常の習慣につながってこそ
歯科医院では、MFT(口腔筋機能療法)に取り組んでいるところも多くあります。
MFTも、トレーニングをその場で正しくできることだけが目的ではありません。
舌や口唇、呼吸、嚥下、咀嚼などの機能が、日々の生活の中で無理なく使われるようになり、少しずつ習慣として定着していくことが大切です。
けれども、身体全体が力んでいたり、足裏や坐骨による支えがなく、呼吸がしにくい状態のままでは、口の周りだけで新しい使い方を続けることが難しい場合があります。
だから私は、口腔だけを切り離して考えません。
身体が安定し、呼吸しやすい状態になること。
自分の身体の変化を、子ども自身が感じ取れること。
その土台があることで、MFTで学んだことも、単なる「やるべき練習」ではなく、日常の動きや習慣へつながりやすくなります。
この講座が目指しているのは、姿勢を良くすることだけではありません。
子どもが自分の身体を感じながら、呼吸や口腔機能を育てていける土台をつくること。
それが、歯科医院で取り組む口腔育成にもつながっていくと考えています。
この講座は、一日では終わりません
この講座は、
初回Zoomで知る。
自分の身体で体験する。
子どもの現在の状態を写真に残す。
院内研修で、解剖学的な背景と身体のつながりを学ぶ。
医院で実践する。
症例を持ち寄り、その後のZoomで一緒に振り返る。
という流れで設計しています。
一度説明を聞けば、すぐに子どもへ指導できるようになる講座ではありません。
体験し、観察し、試し、振り返る。
その過程を重ねながら、
院長やスタッフの皆さんの中に、子どもの身体を見る視点を少しずつ育てていきます。
そして、その視点が医院全体の共通言語になった時、
姿勢や呼吸への取り組みは、誰か一人の知識や頑張りではなく、医院の文化として育ち始めます。
まず変わるのは、大人の見方です
子どもに伝わらない時、
「もっと分かりやすく教えなければ」
と考える前に、
一度立ち止まってみる。
私は、この変化を自分の身体で感じているだろうか。
この子を、変えようとする前に観察できているだろうか。
子ども自身が気づくための余白を残しているだろうか。
この講座は、子どもの姿勢を直す技術から始まるのではありません。
大人が子どもの身体を見る、その見方が変わるところから始まります。
子どもたちが、自分の体を味方に、やりたいことへ挑戦できるように。
そのために、まず大人自身が自分の身体を感じること。
そこから、子どもの姿勢と口腔育成を支える新しい関わりが始まります。
子どもの姿勢や関わり方で悩まれている先生へ
姿勢を見始めると、
「この子はどう見たらいいんだろう。」
「姿勢と口腔育成は、どうつながっているんだろう。」
「今、医院で取り組んでいることは、このままでいいのかな。」
そんな新しい疑問が出てくることがあります。
私は、歯科医院で姿勢改善を行うことを目的にはしていません。
子どもたちが、自分の体を味方に、やりたいことへ挑戦できるようになること。
そのために、歯科医院だからこそできる関わり方を、一緒に考えていきたいと思っています。
もし、
「うちの医院でも取り組めるだろうか。」
「まずは話を聞いてみたい。」
そんなお気持ちがありましたら、お気軽に無料Zoom相談をご利用ください。
現在取り組まれていることや、お悩みを伺いながら、一緒に整理していきます。


